PLを見る上で大事なポイントはたくさんありますが、そのうちの一つとして損益分岐点があげられます。
損益分岐点とは、実務的にはいくら売上を上げたら損益がトントンかという売上を表します。損益分岐点はどのようにして算出するのでしょうか?またどのような場面で使われるのでしょうか?
損益分岐点の算出方法
本来、損益分岐点とは、費用を変動費と固定費に分けるというSTEPを踏むのですが、実務的には販管費はすべて固定費とみなして、どれくらいの売上で営業利益がいくらプラスになるのか?という目線で見ることが多いです。
例えば、粗利率10%、販管費が1,000千円/月の会社があったとします。社長は毎月300千円の営業利益を出したいという目標があります。この場合どのように売上目標を立てればいいでしょう。
この場合、粗利が300千円+1,000千円=1,300千円必要です。粗利が10%のため逆算すると13,000千円の売上が必要ということになります。
売上を上げたい場合、粗利率が落ちる場合があります。またそのような戦略を敢えて取ることもあります。
その場合、粗利8%とするといくらの売上が必要かも考えることができます。
必要粗利は1,300千円で変化がないとすると、16,250千円の売上が必要となります。
どちらの戦略を取るかは達成可能性が高い方でいいですが、売上の目標値だけを示すと、営業マンの方々が粗利を下げてでも仕事を取ってくる可能性があることに注意が必要です。
計画策定時
月次決算でも損益分岐点はチェックすべきですが、個人的には計画策定時とMA時にこそ損益分岐点を使用すべきだと思っています。
まずは年度計画策定時です。そのために月次決算で毎月の損益分岐点を確認します。販管費には固定費以外のものも多いですが、半年程度あればだいたいの販管費水準はわかってきます。この際に固定資産税などイレギュラーで発生するものも発生月が決まっているものは織り込むようにしましょう。
通常であれば決算3か月前くらいから、翌期の計画を組みます。この時に前述のように、売上、粗利を変化させた2パターン以上作成するのがポイントです。売上を拡大していく場合、粗利が下がっていくことも多く、その影響を織り込まないと、売上は上がっているのに思ったより利益が出ないなぁ、といったことになってしまいます。また、無理に売上を上げることにより販管費が増加してしまう場合もあります。
MA時
これは買収時点に損益分岐点を必ず把握すべきです。DDの際に是非とも必要項目に入れてみてください。DDの場合、正常収益力というイレギュラーな収益、費用を省いたPLを用いて価値を算定することが多いです。このイレギュラーな項目を除いたPLであれば簡単に損益分岐点が出ます。そこから未来の売上計画をイメージし、本当にMAをするべきかの検討をアドバイザーと実施してください。割安という言葉や、利益が出ているというだけでMAをすると、痛い目にあうかもしれません。薄利多売か、一つの製品、サービスの粗利率が高い商売かどうかによっても、不況時の振れ幅が違うからです。
これからPLを見るときは数値だけでなく、ぜひ損益分岐点を意識してチェックしてみてください。また、このような視点で毎月の月次数値を見てみたい方はぜひご連絡をいただければと思います。